性能比較データ集Ⅱ

炭素繊維とマトリックスの耐薬品性

炭素繊維強化複合材は、炭素繊維とマトリクス樹脂とで構成されます。
一般に炭素繊維複合材の耐薬品性は比較的安定しています。
従って、炭素繊維強化複合材はマトリクス樹脂が支配的となります。

炭素繊維の各種試薬浸漬試験

試薬内容 温度 引張強度(Mpa) 引張弾性率(Gpa)
ブランク   2413 228
50vol % 塩酸 50℃ 2834 241
50vol % 硫酸 50℃ 2172 241
50vol % 硝酸 50℃ 1951 207
50vol % 水酸化ナトリウム 50℃ 1903 248
正燐酸 室温 1903 248
濃塩酸 室温 2861 269
濃硫酸 室温 2371 200
濃硝酸 室温 2565 234
次亜塩素酸ナトリウム 室温 2813 269
液体臭素 室温 3016 241

エポキシ樹脂の耐薬品性

薬品種類 評価 備考
メタノール 艶変化
エタノール  
IPA  
アセトン 艶変化
キシレン 艶変化
トルエン 艶変化
フェノール × 劣化
ホルムアルデヒド  
ガソリン  
塩素ガス × 劣化
水蒸気(150℃) ○:耐湿熱仕様

FRP(繊維強化プラスチックス)の概要[有機材料のアウトガス]

用 途 分 類 TML(%) CVCM(%)
接 着 剤 エポキシ 系 0.24 ~ 1.61 0 ~ 0.21
充 填 剤 エポキシ 系 0.7 ~ 0.28 0.09 ~ 0.1
構造材料 CFRP 0.127 ~ 0.808 0.001 ~ 0.008
GFRP 0.404 ~ 0.55 0.0012 ~ 0.03
AFRP 1.743 ~ 1.92 0.007 ~ 0.01
  • アウトガスの定義
       有機材料の表面に付着したガスの放出や材料自体の蒸発により発生するガスをいう。
  • アウトガスの評価方法    アウトガスは、脱ガス性と再凝固性を基準に評価している。
        TML:Total Mass Loss
        CVCM:Collected Volatite Condensable Materials
  • 一般的な許容基準
       TML≦1% , CVCM≦0.1%(NASAやNASDA)