接着の基礎Ⅲ

接合部の設計

1)応力の分散

接着により形成される接着層には、一般に様々な応力が発生する。従って、「できるだけ最大の面積に、一様に応力を分散させる」ことが最も望ましい接合部設計である。これが応力を分散させ面接合を行うという接着剤の最も優れた長所を活かす接合部設計の基本的な考え方である。

  • 接合部にかかる応力を最小限にすること。
  • 接着剤の最高強度の方向(剪断、引張)に応力がかからないようにすること。
  • 接着剤の最低強度の方向(剝離)にかかる応力を最小限にすること。
  • 接着面積をできるだけ大きくすること。
  • 接着層の連続性を保持すること。(間欠部を無くす)
  • 薄く均一な厚みにすること

2)接合部に働く応力の基本形

接着層に受ける応力の基本形は下記のように引張、剪断、割裂、剝離の4つに分けられる。 この4つの基本形のうち、引張剪断は接着面全体に一様な応力を受けることになり優れた接合設計を示している。しかし。割裂、剥離の場合は、接着面の一方或いは端部に応力が、偏り不十分な設計になる。



3)接合設計

接合部設計で広く一般に実用化されているものを次に示す。



4)設計上の注意

  • 接合部の設計にあたって、接合部の機械加工があまり複雑で且つ、当て板など余分な材料を必要とすれば軽量を目的にする接着の利点を失うことになるので、このような接着継手の設計にはそれぞれ使用目的に合った 実用的な ものを有効に活用すること。
  • 接着目的に対して、接着剤単位では不十分と判断される場合は、接着剤と機械的接合方法を併用するなど、していたずらに接着剤のみに頼ることは避けること。

5)接着に関する単位

  • 接着強さ  : 1㎏.f /㎠ ⇒ .098MP ⇒ 0.098N/㎟
  • 剥離接着強さ : 1㎏./25㎜ ⇒ 0.39N/㎜
  • 粘度 : 10P(ポイズ) ⇒ 1Pa・s(パスカル・秒)
                 1cP(センチポイズ) ⇒ 1mPa・s(ミリ・パスカル・秒)